フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

ショーン・ベイカー、2017。カラフルなゲットーにおける母子のストーリー。なぜカラフルなゲットーのかといえばディズニーワールドの周辺に位置しているからだ。この映画は母子の関係性よりも、子供たちの目線でストーリーが成り立っている。子供目線だから大概が曖昧に済まされて適当に時間が過ぎて去っていく。シーン割をとってみても唐突にバサリと切っちゃうし、散見される画へのこだわりも押し付けがましくはない。叙情性みたいなものはザックリ排除されている。つまり母子の愛や子供たちの友情には、見ていて感情が乗ることはない。そもそもアメリカってこんな国でしょう、と思うばかりだ。ウィレム・デフォーの存在は重要なのだが、その期待されるべき役割を半ば放棄しているようにも見えてしまう。でも他のキャラクターを維持させるという意味では一定の役割を演じている。それによってこの映画のゲットーにはある種の平和がもたらされているようにも見える。でも行政機関が実力行使に出ると当然ヤバい。そこで、だからこそミラクルが発生するのだが、そのミラクルがあまりにもマジカルでミステリーなエンディングになだれ込んでいったから、単純な感動と単純ではない感動が入り乱れ、すこぶる良いエンディングになっていった。95点。