万引き家族

是枝裕和、2018。是枝裕和らしからぬ雰囲気を醸し出していたのが、撮影の近藤龍人と女優の松岡茉優だろう。近藤の作る画は、しっかりした構図から大胆にカメラの反転させるパターンなんて『曇天生活』から変わらないし、家の中はもちろん万引のシーンやロケーション撮影など、記憶に残るシーンがたくさんあった。松岡茉優はあの家族においては異質な存在であり、そのことが彼女を引き立たせていたし、樹木希林との関係性はとてもよかった。家族と偽の家族、社会と社会の枠から外れた人々、それを明確に差別化せずにその混濁ぶりがすさまじく練られていて、種明かし的な部分があっても印象が何も変わらなかったからすごいと思った。万引き家族というのは、万引で暮らしている家族の姿でもあるのだが、その万引の概念はかなり拡張されており、子供を万引する物語が大きく提示されるわけだが、その善悪については映画は判断することをしない。いろんな善悪などの価値観が放置され、例えば池脇千鶴と安藤サクラのように噛み合わなかったりするのだが、それを対照させることで社会のフレームの内と外を分けるといった意味合いのことはしない。社会とのあってないような距離、すなわち類似性と、陸の孤島のように浮かぶあの家の社会とのはぐれ具合に見える平行性。飽きずに見ることができた。95点。