父と暮せば

黒木和雄、2004。原爆映画の秀作。原作は井上ひさしの戯曲。実際、戯曲っぽい脚本になっているが、カメラは大いに有効利用されており、特に頻発する長回しが緊張感を持続させている。カメラはポジションも移動にも唸らされた。宮沢りえと浅野忠信の恋物語とへ平行して語られる父、原田芳雄と娘、宮沢りえの物語は、実に多彩な模様に彩られており見ていて飽きることがない。話はすべて根底に原爆があるし、実際重々しい内容も多く含んでいるのだが、ほどよい軽妙さがあり、そのバランスは素晴らしかった。浅野忠信のパートの省略が実に見事で、それが父娘のほぼワンセットのやり取りを充実したものにしていた。物を語る力とか流れとか、そういったものが実に見事で、これは原作の素晴らしさがにじみ出ているようにも感じた。95点。