都会の女

F・W・ムルナウ、1930。1927年の名作『サンライズ』と似ているといえば似ている。この映画は陰と陽がくっきりと分かれているのだが、とりわけ素晴らしいのは陽の部分で、そのなかでも陽のラスト、地元ミネソタの麦畑に花嫁と戻る移動撮影は、映画史に残る瞬間だと思う。光と影を使った描写も素晴らしく、扉の使い方に特化した作りも効果的だった。列車の撮影も際立っている。シカゴとミネソタの対比と類似の反復描写も素晴らしい。100点。

レディ・バード

グレタ・ガーウィグ、2017。地元うぜーサクラメントうぜー東部行きてーとか言っておいて、サクラメント愛がにじみ出まくっている映画。家族愛と地元愛とか友情いうマンネリ化した題材を若い感性で切り取っておりとても新鮮な気分で見られた。とても愛おしい映画で、二回連続で見てしまった。演者ではシアーシャ・ローナンが素晴らしすぎた。100点。

シヴィリゼーション

トーマス・H・インス、1916。サイレント映画の黄金期は1916-28年位だと言われている。これは初期の大作でダイナミックな映画になっている。とにかく大勢の人がわんさか動いている。半透明なキリストが出てきたり国王も半透明になったりする。結局は第一次大戦機に平和条約を締結しようというメッセージが込められているのだと思う。この映画は小津が影響を受けたということで見たのだが、その影響はよくわからなかった。90点。

アイリッシュマン

マーティン・スコセッシ、2019。Netflix映画。これはNetflixを解約する前に見とかにゃならん映画だったから見た。中心となる演者が年を取りすぎているのもネックだったし、原作や史実に忠実にした結果だと思うのだけれど、少しわかりにくい部分があった。あとは尺が長すぎて終わりの頃には最初の方を覚えていなかった。スコセッシは切れのある演出を見せており名シーンがたくさん見られた。2度続けて見たものだから頭が疲れまくっている。95点。

もう終わりにしよう。

チャーリー・カウフマン、2020。Netflix。カウフマンはもともと苦手なのだが、これは苦手なカウフマン決定版的な仕上がりになっていた。インテリ会話の字幕に追いつけず、奇妙な世界に乗り切れず、半分くらいしか内容を理解できなかった。でもこういう売れなさそうな映画は配信サイトが得意とするところなので、時代は良い方向に向かっていると実感した。90点。

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 前篇・後篇

樋口真嗣、2015。アニメにハマってしまい映画も見たのだが、これはヒドかった。脚色からして大いに飛躍させているように見えるのだが、それでいて原作に縛られてしまっている。前篇は特にヒドかった。カメラも人も動いてばかりで落ち着きがない。そして決めのショットのカッコ悪さ。あとは内容をぶっ込みすぎてなにをやっているのかよくわからない。後篇ではやや落ち着いてみることができた。CGもちょっとひどくて石が落ちる何気ないCG描写にもリアリティがまるでなく残念だった。アニメ版は見るのが止まらなくなったが、映画版は見るのが苦痛だった。85点。

オールド・ガード

ジーナ・プリンス=バイスウッド、2020。死ねなくなってしまった戦士たちの物語。不死身の快進撃を見せつけるような映画ではなく、不死身であることはかなりネガティブに捉えられている。さらには寿命もあるらしくて、シャーリーズ・セロンはどうももうすぐ死ぬらしい。どうしても陰鬱なムードの中で話は進むのだが、シャーリーズ・セロンは今作でも絶好調である。カッコいいという概念には男性なんか必要ないんじゃないかってくらいにカッコいい。そしてアクションも相変わらず素晴らしい。もう少し不死身であることの面白さを描けると良かったと思う。続編もやる気みたいだから楽しみにしている。90点。

ボヘミアン・ラプソディ

ブライアン・シンガー、2018。クイーンの伝記映画。クイーンには特に思い入れはない。この映画は劇場でこそ真価を発揮する映画だと思った。複雑なストーリーや小細工などは排して、職業監督のようにブライアン・シンガーは撮っているのだがそこがいい。音楽の力を信じ切って撮っている感じがすごく伝わってきた。でも生ぬるい映画だなという印象は拭い去れなかったけれど、最後のライブエイドで見事に印象は覆された。クイーンの音楽にはまるで興味がなくてもあのライブエイドは感動的だった。あざとい演出などがないところが素晴らしい。95点。

ミス・アメリカーナ

ラナ・ウィルソン、2020。Netflix。テイラー・スウィフトのドキュメンタリー。なんてことはないドキュメンタリーなのだが、子供の頃のビデオ映像がちゃんと残っていて、これが20年後のアーティストになってくるとスマホのせいで誰でも撮影者になるってことで、これからドキュメンタリーの世界の過去映像はどんどん変わっていくのだなあと感じた。あとは過去のパブリックな映像なんかは全部YouTubeに上がってるから、こちらも変化が必要になってくる。この映画では、太った問題、カニエ問題、政治問題などよく知られたネタを振り返ったりする。どれも真摯に答えていた。曲を作りながら話が流れていくところが素敵だった。90点。

グッド・タイム

ジョシュ・サフディ、ベニー・サフディ、2017。『アンカット・ダイヤモンド』の監督の作品。いきあたりばったりに物語が展開し、キャラクター描写は放置されることもある。特に16歳の女はもっと使いようがあると思う。でもそういうキャラクタライズはほとんど排除されており、そもそも主人公ロバート・パティンソンと一番長くいる、間違えられた男すらもキャラクタライズされる描写は少ない。クレジットカード女もしかり。そういう殺伐とした感じはノンストップスリラーとしての体裁を見事に保っており、映像と編集もそれに呼応している。散らばらせたプロットの回収なんてことは端からする気はなく、ひたすら思い通りにならない状況に主人公をさらしつずけるのは、とてもいさぎよく思えた。95点。