スケアクロウ

ジェリー・シャッツバーグ、1973。傑作。ニューシネマ風ロードムービー風ドラマ。導入が印象的。心の痛み系の映画で、ここまでエンタテインメントでバディな映画も珍しい。主演者二名の功績か。ヴィデオで見たのだが、フレーミングがとても変で、画が窮屈で、調べたところ、オリジナルはスコープサイズなのにヴィデオはスタンダードサイズ。横幅半分くらいカット。ヴィデオでこの映画を見ても、そのフレーミングについて語る権利は無い。何度もヴィデオで見た。権利を 粗暴に奪う商業世界。映画産業はパッケージ商品の取扱いが雑すぎる。DVDはシネマスコープ。もう一度見るのも面倒くさい。

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

ウェス・アンダーソン、2001。凡作。スタイルがあるのだが、そのセンスが非常に曖昧。致命的に行儀が良い。否定するほど自分なりに享受出来ない。色と音楽の 使い方は嫌い。彼の演出は思いつきの感じがしないから窮屈。分からない映画。

魔法使いのおじいさん

G・アラヴィンダン、1979。マラヤーラム語。不明。殆ど眠った。台詞が凄く少ない映画。同じようなシーケンスを多用する映画。このループが眠気を誘う。前回見たマラヤーラム語の「ねずみとり」同様、商業映画の時間感覚は皆無。これも眠気を誘う。眠くないときに家で見たい映画。時間も空間もどうしようもなく素朴で、その素朴さを作為的に演出してない感じが良い。佐藤忠男の私的な生涯ベストワン映画らしい。

放浪者

ラージ・カプール、1951。ヒンディー語。傑作気味。3時間の大作。ボリウッドがこれほどまでに成熟した映画文化を築いていたことを全く知らなかった。当時のハリウッド社会派映画を そのまま引用して、欧州的な野心的映像演出も試みつつ、後は素晴らしき歌と踊りの世界。フィルム状態が悪いし、カッティングも乱暴なのだが、凄く生命力の ある映画。商業映画として素晴らしい。ダサい映画だけど。当時は日本も映画黄金期で、宝塚&松竹という強力な歌劇文化を持ちながら、歌劇的要素を持つ映画が弱い。小規模オルタナで終わった。

三日月

バール・マヘーンドラ、1982。タミル語映画。佳作。カマラハーサンとシュリーデーヴィによるスター映画。娯楽小品で二時間半。スター知らぬので楽しみ方の殆どを捥がれた状態。歌あり踊りありだが結構普通のベタベタドラマ。スターの芸に酔いしれる。オールアフレコ嫌い。撮影や照明はとてもレベルが低い。常識を逸脱している部分多く、少なからずショックを受ける。

戯夢人生

ホウ・シャオシェン、1993。傑作。台湾史作の一つ。「悲情城市」を期待して見たから肩透かし。「悲情城市」 の高揚感、大仰な芸術性は皆無で、ホウ・シャオシェンの他作品と同様な感じ。リー・ピンビンの素晴らしさを堪能。自然撮りの色調は完全にユニークな個性。 フィックスの画でもカメラをフィックスさせているのは多分パン棒を握るリー・ピンビンの手であり、故にとっても柔軟。目が離せない。煙草のシーンは素敵すぎ。

素敵な歌と舟はゆく

オタール・イオセリアーニ、1999。傑作すぎ。久々に映画作家の作品を見た感じ。娯楽性と芸術性が 良好に共存。こんなに面白い群像劇を見たのは久しぶり。終盤もたつくor長いが、許してしまう。映像の自然な色合いが美しい。ルブチャンスキー素晴らしい 仕事。凄まじい1ショット演出多々。計算どおりだろうけど奇跡的な人物の入れ込みよう。野心的。刑務所数ヶ月を流麗な1カットで表現。現場で作られる映 画。何度見ても発見のある映画。メッセージ性がうるさくないのが凄い。これぞ作家。カフェの娘に恋をした。この手の映画が自分の映画観の原点であると確認。邦題が覚えられない。イオセリアーニ見る。怪物。