イッツ・フライデー

ロバート・クレイン、1978。素晴らしいディスコ映画。基本的にクラブの外でもノリノリなところなんて素晴らしすぎたね。男が車の上で踊るダンスは凄いし、コモドアーズの楽器運搬係も警察に捕まるとすぐに演奏を始めちゃう。もちろんクラブの中ではダンスまみれ。ドナ・サマーは感動的な格好良さ。群像劇になっていて、それもまた良い感じにいい加減にとらえていて感心した。でも多分黒人と白人が入り乱れているディスコは当時は無かったと思うなあ。だってパラダイス・ガラージがいろんなカラーの人たちが集まった奇跡的なクラブと言われるくらいだから、この映画は本来真っ黒映画になるべき何だけれど興行の都合でそうもいかなかったんだろうなあ。でもこの映画は本当にシナリオなんかドタバタしていて、全てを音楽が支えていて、音楽がここまで映画に介入している映画もあまりないね。その音楽が超カッコいいんだから文句なしだね。

ジュリエットからの手紙

ゲイリー・ウィニック、2010。この映画はアマンダ・サイフリッドの映画なのにヴァネッサ・レッドグレーヴとフランコ・ネロ夫妻が主役級の働きを見せ、映画が終わった。アマンダの婚約者を演じたのもガエル・ガルシア・ベルナルというくせ者だったから、メインキャストではクリストファー・イーガンだけが未熟なキャリアなのに、アマンダは最後に彼と結ばれてしまうんだ。僕はアマンダに限らずポニーテールが嫌いで、アマンダ・サイフリッドもポニーテールが多い。大きいお目々にポニーテールって似合うんだけれど、もっといろんなアマンダを見たいよね。殆ど舞台はイタリアなんだけど、CGが多いしちょっとイタリアの空気は伝わってこなかった。それにしてもガエル・ガルシア・ベルナルの演技はいかれてたね。ああいう演技の出来る役者は貴重だなあ。あの演技が無かったらこの映画はちょっと真面目すぎる映画になっちゃうんだから、凄いねガエル・ガルシア・ベルナル。アマンダは今や押しも押されぬスターなんだけれど、例えばスカーレット・ヨハンソンが『ゴースト・ワールド』に出ていたような、ミニシアター系が好きな人からの崇拝が無い。もう若いアマンダは遅いんだけれど、これから良い監督と巡り会って良い映画に出て良い演技をして、カッコイイ映画に出て欲しいなあ。

聖少女アンナ

カテル・キレヴェレ、2010。ジャン・ヴィゴ賞受賞作品ということで見た。原題は『Un poison violent』だからこの邦題はかなりエロ映画として男性受けを狙った感じがする。この映画はキリスト教の貞淑であれという教えと、10代前半で性に目覚める子供の物語。かなり使い古された論法でストーリーは面白くない。主役は美しいと思える少女だったけれど、その母親は普通に不細工で映画的なリアリティが全くないのが悲しい。こういう恋だの愛だの肉欲だの不倫だのといったお話で不細工が出てくると、見る側としてはどうしても悪者扱いしてしまうね。屋外の撮影は凄く良かったけれど、屋内の撮影はもう少し頑張らないといけないね。この映画は結構音楽にまみれていて、聖歌と昔のレコードが対比的に描かれている。最後にレディオヘッドの「クリープ」の聖歌隊バージョンで終わるのだけれど、やっぱり素晴らしい曲だなあと思った。

BIUTIFUL ビューティフル

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、2010。僕の嫌いな映画とは正しくこのような映画なんだなあ。まず無駄に長い148分。そして無駄な緊張感を煽る。ちょっとびくびくした感じで見る映画なんていらないね。なんかこういう映画を見るとヨーロッパ賞レース用の映画という気がする。グローバリズム、大衆性などはこのくらいの程度の映画がモテるんだよね。撮影も緊張感を煽る酷い撮影だったし、僕はやっぱり148分というのはふざけていると思う。105分の映画なら、外れくじを引いたって感じの映画で終わるんだけれど、148分映画に付き合うことは、こちらもそれなりの覚悟をしている。そこでいつか面白くなると期待をしつつも結局10分くらい見れば面白い映画かどうかなんてわかるよね。ラストシーンはちょっと良かった。あとは無名のマリセル・アルバレス。僕はああいう裸が大好きで、ヤク中の動きとか顔の腫れ具合とか本当にリアルな感じで凄く良かったなあ。マリセル・アルバレスはもっと見たいと思った。アルゼンチンの悪い女だね素晴らしい。

素直な悪女

ロジェ・ヴァディム、1956。ブリジット・バルドーがセクシー女優としての地位を確立した映画。監督は夫のロジェ・ヴァディム。オープニングシーンとエンディング近くのシーンは素晴らしい。洗濯物を干している向こう側のバルドーは全裸で、その先の美しき自然と共に、男達にとって夢の世界。この映画でバルドーはセックス・シンボルとなった。でも今だったらグラビアアイドルやモデルのような容姿になるんだろうけれど、バルドーは肉付きがいいね。映画は対して面白くないんだけど、夫の兄とヤっちゃって家を追い出されてバーに行ってその地下かなんかでバンドが演奏していて、そこで踊り狂うバルドーは凄かった。映画的なカタルシスに充ち満ちていた。この映画、ちょっと撮影の構図がおかしいなと思ったらオリジナルはスコープサイズなんだよね。それを権利元であるフランスのTF1社がワイドにして流通させている。僕は映画のサイズをトリミングするのは、別の映画にすることだと思っているから、タイトルを変えなきゃいけない例えば『素敵な悪女 ワイド画面版』とかね。僕はトリミングするのは何があっても反対だね。そしてこの映画はそれをやっている。最悪な映画会社が作った映画。

マチェーテ

ロバート・ロドリゲス、イーサン・マニキス、2010。痛快エンタテインメント。この映画はジェシカ・アルバへの離れた気持ちを一気に引き戻してくれた。でもジェシカ・アルバはトレンディ・ドラマの延長のような役柄でしか無く、対してミシェル・ロドリゲスはメチャクチャカッコイイ役をやっていて素晴らしかった。映画は主演男優はもちろんダニー・トレホなんだけれど、女優はジェシカ・アルバとミシェル・ロドリゲスがダブル主演くらいの扱いで、非常に贅沢な映画だった。リンジー・ローハンも以外と活躍する。思ったのは、これくらいの予算規模で豪華スター共演映画でも105分で終わらせる技量とこだわりがロバート・ロドリゲスにはあって、それは本当に素晴らしいこと。でもこの映画、映倫はR18+ということで高校生が劇場で見られない映画なんだよね。エロ描写も殆ど無いから残酷描写が原因なんだろうけれど、僕が見たのは残酷描写にも所々ぼかしが入っていて、これなら中学生以上なら全く問題ない映画だと思うんだけれど、映倫というのは酷いことをするんだなあ。

かいじゅうたちのいるところ

スパイク・ジョーンズ、2009。スパイク・ジョーンズの長編第3作。デビュー作『マルコビッチの穴』と次の『アダプテーション』はチャーリー・カウフマンの色が強すぎて、スパイク・ジョーンズの魅力はあまり伝わらなかったけれど、この映画はカウフマンも絡んでいないし、実にスパイク・ジョーンズらしさが出た作品。この映画はしみったれたパートと子供のパワーが炸裂したパートがあって、子供のパワーが炸裂した活動的なシーンはスパイク・ジョーンズのCMやPVの数々で見せたわくわく感がすごい。それを大好きなランス・アコードが撮影してる。例えば最初の雪合戦とか、かいじゅうのところで最初に踊ろうって言ったシーンはホントみずみずしいというかガキっぽさが素晴らしいね。しみったれたパートはあんまり面白くなかった。この映画は音楽が素晴らしすぎて、早速サントラを購入した。音楽はヤーヤーヤーズのカレン・Oが素晴らしい楽曲を提供している。カーター・バーウェルがどこまで絡んでいるのかよく分からないから、カレン・Oは歌入れだけって可能性もあるけれど、素晴らしい仕事っぷり。音楽がかなり映画を支えていた。まあスパイク・ジョーンズだから音楽の使い方のセンスは疑いようも無いね。