その男狂棒に突き

山下敦弘、2003。刑事まつりで上映された「汁刑事」のロングヴァージョン。フェイクドキュメンタリー。「汁刑事」の方が作品としては断然良かったが、これ はロングヴァージョン見られるから故の贅沢というもの。中心三人の役割の演じっぷりが素晴らしい。インプロの嵐、多分。これで殆ど脚本どおりだったら逆に 山下を尊敬する。山本剛史はやっぱり良いけどキレ芸みたいで辛くもあった。でもこりゃ山下の責任。浮かれた映画。こちらが浮かれるほどの映画ではない。い ま浮かれてるのは商売屋だけ。

ナサリン

ルイス・ブニュエル、1958。良作。宗教映画。キリスト教への愛憎を初期の段階から意識的に映像化してきたブニュエルの宗教観がよく分かる。これがメキシコの撮影所システムでなく、ヨーロッパで撮られていればもっと、ネガティブでアーティスティックになっていたと思うが、メキシコの撮影システムはかなり合理的に撮るからドラマドラマしてしまう。多分同録なのだがクリア過ぎてアフレコに聴こえる。キリスト教国家にリメイクして欲しい。

オーケストラ・リハーサル

フェデリコ・フェリーニ、1978。良作小品。ニーノ・ロータとの最後の仕事。音楽ドキュメンタリを撮るにあたり、参考にしたのを思い出した。しかし参考されなかった。狂騒曲仕立ての映画なんて浮世離れしていて素敵だった。映画だなあ。映画は好き。

小早川家の秋

小津安二郎、1961。佳作。無常観漂う喜劇。小津唯一の東宝。色が既に東宝。ダーク。役者がオールスター。中村鴈治郎と新珠三千代の親子が素晴らしい。お話がつまらない。小津の原節子の使い方にどうにも賛同しかねる。60年くらいの若い女はガリガリで変な髪形してて嫌い。厚田と浜村がいるといないでここまで違い、でもこれだけの違いしかないので、小津がかなり介在していると分かった。

ヴァイブレータ

廣木隆一、2003。良作。ダサかっこいい感じのダサい映画。ロマンポルノ然とした主演二名の画づらもそう だし、一貫性がまるで無い微妙な音楽の使用もそう。廣木隆一&鈴木一博ペアの魅力は相変わらず堪能できる。廣木隆一は希少な職業監督の一人。お話の内容が あまり好きではない。多分原作相当嫌い。文字のモノローグが小さすぎて全く読めなかった。小型テレビで見る主に低所得者層を切り落としている。お金を払ってこの仕打ちはない。

家族の気分

セドリック・ クラピッシュ、1996。良作。ジャウィ&バクリの戯曲?をクラピッシュが映像化。カメラがブノワ・ドゥロームに変わったのはとても大きな変化。適切で寡黙なカメラワーク。自然光をキャッチするのが上手。クラピッシュ作品の以前の大味なフレーミングは無い。クラピッシュは職人のように監督している。この流れ で「猫が行方不明」へとつながっていく。ジャウィ&バクリは個人的には縁の薄い良質なフランス演劇を感じさせる脚本を書くのでありがたい。縁無しセザール系。でも確か公私ともにコンビ解消。ジャウィは、当時より現在の方がどんどん美しくなっている。やはり何か野心持ってやってる女は素敵。

何がジェーンに起ったか?

ロバート・アルドリッチ、1962。嫌い。ベティ・デイヴィスがうるさい。ハリウッド映画をますます嫌いになった作品。往年の大スター映画。時代遅れ。60年代とはとても思えない。ヴィクター・ブオノ関連シーンが最高に素晴らしい。つかみ所の無い 夢のファンタジーにしてリアリスティック。